三田工業粉飾 会計監査人の有罪判決確定

 

「コピーはMita」というキャッチフレーズで有名な三田工業は1998年,会社更生法の適用を申請して事実上倒産しました。同社は中堅のコピー機メーカーで,いわゆる公開会社ではなく同族会社(株主が特定の人から構成される会社)でした。同族会社といっても一定規模以上(資本金5億円以上又は負債 200億円以上)の会社は会社法により,会計監査人(公認会計士又は監査法人)による会計監査を受けることになっています。

当時、私はこの事件を新聞で知りました。

早朝、寝ぼけ眼で新聞を読んでいたのですが,その記事を読んで一気に目を覚ましたことを憶えています。倒産や粉飾ということに驚いたわけではく,同社の会計監査人(新聞報道では実名入りでした)が,経営者と一緒になって逮捕されてしまったことに驚いたのです。

通常は,会社が倒産した場合,粉飾が明らかにされ,経営陣の責任が問題視された後に監査人の責任が議論されます。つまり監査人の責任が問題となるのには,通常時間がかかるわけです。しかしこの事件では,経営者と共に監査人が逮捕されるというショッキングな事件だったのです。

社長の幼なじみだったとされるその会計士は,粉飾決算や違法配当など社会的に到底許されない犯罪行為に荷担していたとされています。

この粉飾決算事件に絡み、当時の商法特例法違反(収賄)などの罪に問われた会計監査人は、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受け、2004年7月26日、被告側の上告は棄却され、有罪判決が確定しました。