2011年12月 管理職によるカード不正

 プラスチック造形事業等を行う株式会社アテクトでは、経理・財務担当管理職による不正が発覚しました。公表された資料を掻い摘んで概要を示します。

 

200710月~201112月・・・会社に無断で契約した会社名義の法人カードを私的に流用・・・会社の預金口座を通さず決済を繰り返すという簿外取引・・・極めて発見困難・・・カード会社から請求を受ける金額は130百万円と見込・・・現在精査中。」

この不正は管理職によるものなので、内部統制が有効に機能しなかったことは容易に想像できますが、具体的にどのような不正だったのかは、必ずしも定かではありません。

今後の詳細な報告を待つ必要がありますが、想像できることは、例えば以下のような場当たり的、自転車操業的な資金捻出方法です。

 

    A社のカード決済代金を生み出すために、B社のカードを利用して購入した商品を売却して資金化する。

    B社のカード決済代金を生み出すために、C社のカードを利用して購入した商品を売却して資金化する。

    C社のカード決済代金を生み出すために、D社のカードを利用して購入した商品を売却して資金化する。・・・

 

 このように複数のカード会社に対する債務が雪だるま式に膨らんだ結果、130百万円もの私的流用になったとも想像できます。上記A社、B社、C社のカード決済は無事なされますが、D社のカード決済はできません。この不正は、どうしようもなくなって決済できなくなった時点で発覚したのでしょう。

 無断で契約した会社名義の法人カードである以上、会社側としてはカードが発行されたこと自体を把握していないことになります。会社の開示資料にあるとおり、カード会社からの連絡がくるまでは全く知る由もなかったことでしょう。

 しかしこの不正を働いた管理職の人は、不正発覚まで、いったいどんなことを考えていたのでしょうか。不正の金額が雪だるま式に増え続けていく状況下で、「このままでは大変なことになる」と知りつつも、その場しのぎに不正を続けたのでしょう。なんとも不幸な事件です。Taku

 

その後、不正実行者の所属する会社が一旦は負担することになったようです。