2013年11月 テレビ朝日元社員による不正流用の続報

今回の不正事例「2013年11月テレビ朝日元社員による不正流用141百万円(以下、「今回の事件」という。)」について、昔、同じような事件がありました。
 「テレ朝、所得隠しで責任者解雇
 これは2006年9月、テレビ朝日が国税局の調査を受けた結果として、架空の制作費を番組制作会社に支払ったことが明るみになった事件(以下、「過去の事件」という。)で、当時の社長が記者会見している写真が掲載されていました。
 過去の事件での架空の制作費による申告漏れ総額は155百万円、追徴税額は重加算税も含めて59百万円になるとしています。
 「国税の調査」で「大物プロデューサー」が「番組制作会社」を利用して「架空の制作費を請求させ」、「旅行や服飾・接待等の奢侈財への費消する」という点で、両者は全く同じパターンです。
 さらに不正発覚後の対応も「懲戒解雇」、「役員の減俸」、「刑事告訴の見送り」、「実名公表せず」という対応に加え、約150百万円の水増し請求で金額的にも酷似しています。
 さらに驚いたのは、不正の開始時期です。
 いずれの不正も2002年~2003年頃から不正を始めているのです。過去の事件は2006年9月に発覚しましたが、今回の事件は、その後も発覚を免れていたことになるわけです。
 過去の事件の発覚時に「他に同様の不正はないか」という調査を徹底的に行っていれば、今回の事件は発覚していたかもしれないのです。なんともお粗末な話です。
 全く同様の不正が起きるということは、「こうした不正は、多少はやむを得ないんだ」という姿勢の現れです。それほどにテレビ会社と制作会社との間の「密接な関係」は根深い問題なのでしょう。

 こうした不正が後を絶たず、テレビ朝日の自浄作用にも頼ることができず、本来の目的とは異なる「国税局の調査」によって、こうした不正が「たまに」発覚するというのも、何とも情けない話です。
 効果的と考えられるコントロールは前回の記事の最後に載せていますが、これを含めて、徹底的なコントロールを構築しない限り、こうした類の不正は無くならないでしょう。
 この不正によって「一体、誰が損をしているのか」を真剣に考えることも重要でしょう。Taku