2012年6月 セラーテムテクノロジー 偽計で上場廃止

 コンピュータソフトウェア開発販売会社である株式会社セラーテムテクノロジー(大証JASDAQ)が2012年7月に上場廃止となります。
 2012年6月の四半期レビュー(第3四半期)にて、監査法人が結論不表明としたことが引き金になったようですが、監査法人が結論不表明とした理由は、代表取締役が拘留中であることから、四半期レビュー報告書の交付に際して入手すべき「経営者確認書」の内容について確認ができなかったためとされています。
 その前、2012年3月には代表取締役と財務担当取締役の両名は、金融商品取引法違反(偽計)の疑いで逮捕されています。その起訴状によると、株価の上昇を図る目的で、2009年11月に第三者割当増資により調達した資金15億円を、中国の会社の買収資金に充当するとの虚偽の事実を公表したとされます(実際には自己資金7億5千万円を通謀する三社間で2回循環させる方法により上記会社を買収したかのように偽装していました)。
 この偽計の前後の株価を見てみると、2009年6月期の最高株価が16,600円(最低株価4,350円)であったのに対して、偽計のあった2009年11月を含む2010年6月期の最高株価は123,700円(最低株価7,000円)となっています。
 最高株価を比較すると、実に7.5倍もの株価に跳ね上がっているのですから、この偽計の与えた影響の大きさを感じます(ちなみに2011年1月に1株→5株の株式分割が行われているものの、現在2012年7月3日の終値は425円でした)。
 大阪証券取引所は、上場廃止理由として上記の監査法人の結論不表明の事実に加えて、下記の理由を示しています。やはり偽計の影響の大きさがポイントのようです。

(株)セラーテムテクノロジーの行った上記開示は,投資者の投資判断にとって重要な情報を偽ったものであり,(株)大阪証券取引所の行った実質的存続性審査に対して,極めて大きな影響を与えたとともに,実質的存続性審査そのものに対する投資者の信頼を毀損したと考えられ,金融商品市場に対して悪影響を与えるものであったと認められます。加えて,(株)セラーテムテクノロジーが虚偽の開示を長期間にわたって是正しなかったことは,極めて悪質であったと認められ,(株)セラーテムテクノロジーの真相究明に対する姿勢は不十分であると認められます。また,(株)セラーテムテクノロジーが,上場会社として金融商品取引法違反(偽計)の嫌疑で告発及び起訴されたことは,重大であると認められます。これらの状況は,(株)セラーテムテクノロジーが投資者に対する重大な背信行為を行ったものと認められ,公益又は投資者保護の観点から重大であると認められます。

 一方で注目は、同社の業績です。2012年6月に公表された第三四半期(2011年7月1日~2012年3月末日)の連結売上高5,667百万円(前期比8%増)で、経常利益1,022百万円を計上しています。本業では利益を上げているのですが、なんとも残念な話です。Taku