沖電気海外連結子会社における不適切な会計処理の詳細

8月9日に紹介しましたた沖電気のスペインにある子会社(OSIB社)の不適切な会計処理について、同社は9月11日に第三者委員会の調査報告書を発表しました。また、14日には第1四半期報告書と過年度の訂正有価証券報告書を提出し、上場廃止を免れました。
この事件による当期純利益の過年度累計影響額は308億円のマイナス、2012年3月期の純資産は訂正前675億円に対し3262億円(対訂正前比38.9%)減の412億円となりました。また、現金及び預金が訂正前460億円に対し890百万円減少しています。ちなみに営業キャッシュフローへの影響額は2011年3月期が3百万円のプラス、2012年3月期が966百万円のマイナスで累計963百万円のマイナスとなっています。

不適切な会計処理について報告書をもとに紹介します。

1.プリンタ及び関連消耗品の押込販売と対販売先への資金援助
・収益目標を達成するため、ディストリビューター(卸売業者)に対し小売業者への販売を超える過度なプリンタ及びトナー等の消耗品を販売(いわゆる押込販売)した。
・ディストリビューターには支払能力がないことから、未回収の売上債権が大幅に増加した。
・この未回収売上債権について、滞留債権としてのモニタリングを回避しながら、ディストリビューターによる支払いを猶予するため、期日到来前に支払猶予相当額の売上を取消し、新たにインボイス(売上請求書)を発行して売上を計上した。この売上取消と新たなインボイスの発行はOSIB社の社内処理のみで、インボイスがディストリビューターに送付されることはなかった。また新インボイスは当初顧客、当初金額と異なることもあった。さらに物流担当者によって架空のディストリビューター・コードを登録して発行することもあった。この処理は会計システム上、売上と在庫移動・売上原価計上が連動していないことから、容易に行うことができた。
・ディストリビューターからの手形を割り引いた資金で、手形決済不能のディストリビューターに対し、貸付を行い、これを売掛金として処理した。
・売掛金のファクタリングによる資金調達に際し、架空のインボイスを作成し、ファクタリングの対象としていた。、
・外部倉庫にある商品はディストリビューターへの名義変更手続きにて、出荷及び売上を計上していた。倉庫保管料はOSIB社が引き続き負担しており、実質的に売上とは認められないものであった。


2.テレビ事業における債務未計上及び売掛金減少計上
・OKIブランドTVのOEM製造を行うR社から販売代理店Q社への販売間にOSIB社が関与し、Q社から仕入れ、ロイヤリティを上乗せし、Q社に販売を行っていたところ、Q社の資金繰りが悪化した。
・OSIB社はQ社のR社に対する支払を肩代わりするため、三者間合意のもと、手形を発行したが、帳簿計上は行わなかった。
・さらに、これとは別にQ社に対し手形を振り出したが、これを簿外処理した。
・Q社への売上債権について、他社からの回収金にて回収したとして処理する資金の流用や、実在しない未着品と在庫との相殺などにより、Q社の売上債権の減額偽装を行った。


3.同一売掛金を利用したファクタリングと重複ファイナンス
OSIB社は売掛金についてファクタリングを実施する一方で、同時に当該売掛金を手形で回収し、これを割り引くことで同一の売掛金から二重に資金調達を行っていた。


4.リベートの未計上
ディストビューターに対するリベートの負担額を計上しなかった。


                                     Tetsu
                    
 調査報告書についての感想はこちらです。