不正をすすめる日経トレンディに仰天

そそろ私もタブレットでも購入しようかと、ネットでいろいろ見ていたら、次の記事にでくわして仰天してしまいました。新入社員の皆さん、この記事を鵜呑みにしてクラウドを利用すると、まともな企業ならきっと懲戒処分されますので、絶対に行ってはなりませんヨ。それにしても、情報セキュリティをないがしろにし、コンプライアンス違反を奨励する日経トレンディの編集方針はどうなっているのしょうか。日経トレンディが日本を代表する新聞の傘下にあることを思うと、愕然としています。

 

問題の記事は「新社会人必須!5大クラウドサービスを徹底的に使いこなすコツ」(日経トレンディ2012/4/5)です。

ここではまず、会社の自分宛アドレスに送信されたメールをG-mailに転送、保存するようシステム担当に依頼することをすすめています。そして送信するときはG-mailから送信元アドレスを会社アドレスに変えて送ろう、そうすることでメールを個人が持っているスマホからも見え、一括管理ができて便利だというのです。

 取引先との情報、社内の情報を外部に保存した上、個人が有するスマホからも見えるようにする、などということは、会社の機密情報保護や個人情報保護から、決してやってはいけないことです。

次いで、記事は会社で作成したファイルをオンラインストレージのDropboxに保存するようすすめるのです。会社で作成、利用するファイルは、持ち出しが。厳しく制限されています。開いた口がふさがりません。

記事はさらにEvernoteで名刺を管理したり、Googleカレンダーで予定を管理することをすすめるのです。

 

 

会社から貸与されたパソコンを自宅に持ち帰った際、自宅に泥棒が入りパソコンも盗まれた事件が過去にありました。スマホの紛失の可能性は、ノートパソコンの盗難の比ではありません。どこの企業でも機密書類はむやみにコピーできないようにしています。コピーしやすい電子データの場合は、1カ所で管理するようにするのが、セキュリティの要諦です。これを無視して、個人のパソコンなど会社の管理の及ばない場所にデータの保存を可能にすることをすすめるのは、正気の沙汰とは思えません。日経トレンディひいては日経グループののITリテラシーの水準に不安を覚えます。 繰り返しますが、この記事に記載されている「5大クラウド」を企業人は決して「活用」してはなりません。

 

 Tetsu

【追加】

これを書いた翌朝、日本経済新聞企業面「クラウド最前線」(2012/4/7朝刊)で、小学校にクラウドで校務の電子システムを設けた事例を紹介する中、安全面の向上も図られたことにも触れている記事を読みました。そこでは、「先生が処理したデータは複製が制限され、メールへの添付もできない。生徒の個人情報が万が一、流出するのを防ぐ」とあります。彼我の差にITリテラシーを全社で一定の水準に保つことの必要性、セキュリティは脆弱なところから破られることをシステム関係者はゆめゆめ忘れてはならないと、改めて思います。