2013年1月 嘘を見抜く方法

嘘を見抜く方法~不正実行者へのインタビューに際しての注意点

 

 今年の初記事です。今年もよろしくお願いします。

 

「嘘を見抜く方法」というと、なんだか安っぽいテーマですが、私自身、大学時代に心理学を専攻していたこともあり(関係ない?)、また不正実行者へのインタビューの経験も踏まえつつ、嘘を見抜く方法について考えてみたいと思います。

 平気で嘘をつく人もいますが、通常の人は嘘をつくと「なんらかのストレス」を感じるようです。その「なんらかのストレス」は言動になって表れることが多く、それを見抜くことができれば、嘘を見抜くことができるかも知れません。

 不正実行者は、自らの不正の関与を否定するため嘘をつきます。

 その嘘を見抜くために不正実行者と思しき回答者の言動に注意を払わなければなりません(しかしながら、これらはあくまで「傾向」であって、確実に嘘が見抜けるわけではありません。念のため)。

 一般的に指摘される嘘の兆候は以下のとおりです。

1.向かってみた場合、質問回答者の視線が左上を向く(質問回答者が右上を見ている)

 右脳と左脳の機能に関係するようです。

 人は記憶を辿ろうとする場合、左上に視線を向けると言われています。左脳を検索するイメージでしょう。実際起きた過去を思い出そうとしているならば、それは真実であることが多いのです。一方、右脳を検索するように視線が右上に移った場合、どうしようか悩んでいる状況、又は将来に備えていることを意味すると言われます(この場合、向かって見ると視線は左上を向いています)。

 右上、左上、どっちだ?

 ややこしいですが、要するに質問者から向かって質問回答者を見た場合、質問回答者が右上を見たら真、左上を見たら嘘の可能性が高いと言うことです(左利きの人の場合は逆になると言われています)。

この説は、脳が司る機能を踏まえた有力な考え方でしょう。

 「目は口ほどにモノを言う」という諺にもあるように、質問回答者の視線に着目している点で信頼性の高い方法だと思います。単純に、視線を合わせるかどうかも嘘の兆候としては重要な要素と言われますが、この点は後述します。

 

2.嘘をついた後に笑みが出る、顔の部分(目や鼻や口)を手で触れる

 嘘をついたときの心理的な不安が動作になって現れるようです。

 例えば、好意を抱く人の手料理を賞賛して「この料理おいしいね~」といった後、本当は「不味い」と思っていれば、笑みが出てしまうようです。(なんちゃって)などと思っている自分に対する言い訳なのでしょうか。さらには、「プロの腕前だね~」などと嘘を上塗りした場合には、手で口を触ったり、鼻を触ったり、目をこすったり・・・必ずしも必要ではない動作によって、嘘をついた自分の心理的な不安を紛らわせているのかも知れません。

この説も有力です。

 要するに、穏やかでない心理状況が、何らかの不自然な動きを生じさせているわけです。

 同様の嘘の兆候として、以下があります。

・しゃべり方が変わる(声が裏返る。トーンが変わる。早口になる。)

・むせかえる、咳払いする、驚いた顔で動かなくなる。

・急に手振りが増える(又は減る)

・急に優しくなる、異常なほどに敬意を払いだす。

・「記憶にない」「覚えていない」の一点張りになる。

・とぼけた顔で質問内容を復唱する、質問を質問で切り返す。

・手を組む、足を組む、座り直す、姿勢を変える。

 ・余計なことをしゃべり出す。聞いていない詳細な話をする。

・発汗する、呼吸が乱れる、涙腺が緩む等

 全部当てはまる人がいたら大変な騒ぎになりそうですが、端的には「普段と違う状況になる」といって間違いないようです。

 先ほどの「目を見て答えないと嘘」という考えもあるようですが、これも必ずしも正しいわけではなくて、普段と逆を考えた方がより適切と言われています。つまり、普段目を見て話す人は、目を見ないで話していれば嘘の可能性が高いでしょうし、普段目を見ないで話す人が急に目を見て話すようになれば、これもまた嘘の可能性が高いということでしょう。

 「嘘も方便」と言いますし、知らなくて良い真実もあるでしょう。

 しかし、不正事例研究会としては不正実行者から真実を聞き出すことが非常に重要なことなのです。そのためには嘘を見抜く方法も十分に検討に値すると考えました。

 

 私個人の見解では、嘘を見抜くにはやっぱり「目」だと思っています。

 目が泳いで視線が定まらず、左上を見ながら、口角泡を飛ばしていれば、かなりの確度で嘘をついているのでしょうね。そういえば、そんな態度で大嘘をついていた人を思い出しました。昔の記憶ですが・・・。Taku