特設注意市場銘柄について(解説)

 本日、東京証券取引所はオリンパスを特設注意市場銘柄に指定しました。

そこで、特設注意市場銘柄について、おさらいします。

 

  特設注意市場は東証一部、二部、マザーズとは別個の市場であり、有価証券等の虚偽記載があった場合に東京証券取引所が指定替えするものです。問題が生じた際、上場維持か廃止の選択肢の他に、問題がある企業であることを示した上で、東証が管理を継続することで株式の流通性の確保を図る制度であり、学校に例えて退学処分の他に停学処分を加えたとも言われています。

 

この制度は2007年4月の「上場制度総合整備プログラム2007」に基づき、上場会社について上場廃止基準には抵触しない程度の重大な上場規則違反が認められ、改善を求める必要がある場合に上場会社の継続管理を充実させる観点から2007年11月に新設されたものです。

それまでは、虚偽記載などで上場廃止のおそれが生じた場合には、重大性の審査のため、まず監理ポストに入り、重大性ありと判断されると上場廃止、そうでない場合は元の市場に戻る、という制度でした。これ以外には東証は、問題企業に対し注意勧告などの処分しかできませんでした。上場廃止処分は投資家への影響も大きく、抜かずの宝刀的な扱いで、上場制度が軽視される要因ともいわれ、その差があまりに大きいことが問題視されていました。言わば、東証への上場は入学試験は厳しいが、一度入学してしまえば、よほどのことがない限り、退学はなく安穏でいられる学校のような存在だったわけです。

そこで、重大性なしと判断した場合でも内部管理体制等に改善の必要性が高い場合は「特設注意市場」に指定替えし、継続的な管理をする制度ができたのです。

 2008年2月9日、粉飾決算したIHIが第1号の特設注意市場への指定を受けました。その後、本年1月に指定された㈱京王ズホールディングスまで、計10社が指定されています(東証 特設注意市場銘柄指定履歴)。ちなみに現在指定されているのは、㈱京王ズホールディングスと㈱アルデプロの二社です(特設注意市場銘柄指定状況)。

 

制度の概要は次のとおりです(特設注意市場銘柄制度)。

 

1.特設注意市場銘柄への指定要件

 次の3要件を満たすときに、東証は特設注意市場指定銘柄に指定します。

 (1)次の上場廃止基準に該当するおそれが生じたこと

  • 支配株主との取引の健全性の毀損
  • 有価証券報告書等の虚偽記載、公認会計士の不適正意見等
  • 上場契約違反等
  • 反社会的勢力の関与
  • 公益又は投資者保護

 

 (2)審査の結果、影響が重大でないと認められ、上場廃止に至らなかったこと

 (3)内部管理体制等について改善の必要性が高いと認めたこと

 

2.指定の解除

 指定を受けた会社は指定を受けてから1年後に、内部監理体制等の状況を記載した「内部管理体制確認書」を東証に提出します。そこで、問題がないと認められれば指定は解除されます。

 

3.上場廃止

 「内部管理体制確認書」に問題があると認められた場合は、また1年後に同書を提出します。そして3回提出してもなお、問題がある場合は、上場廃止となります。つまり、特設注意市場に指定替えされてから、3年後には上場か、廃止かが決定されます。

 

(参考サイト)

 2007年 6月22日 上場制度総合整備プログラム2007に基づく上場制度の整備等について

 2007年11月1日   東証、「特設注意市場」正式に制度化

 2008年 2月 9日  「特設注意市場」と「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」「整理銘柄」

 

Tetsu