不正事例の分類について

不正事例は、公認不正検査士協会が公表した「職業上の不正と濫用に関する国民への報告書」(2012年度叛P7、2010年度版P7)に記載されている「職業上の不正と濫用 不正の体系図」を参考に5つに分類しています。

各区分に含まれている項目は次の通りです。

 なお、1件の事例で複数に区分されるときは、最初の区分に掲載しています。

 

1.汚職

 利益相反

 贈収賄

 違法な謝礼

 利益供与の強要

2.現預金の不正流用

 手元現金窃盗・横領

 領収現金窃盗・横領:売上金の不計上・過少計上、売掛金の帳簿からの抹消

3.不正支出

 請求書:架空発注、水増し発注

 給 与:架空従業員、勤務時間の改ざん、歩合給過大計上

 架空経費:虚偽の使途、架空経費、経費の水増し、多重精算

 小切手改ざん:振出人署名偽造、裏書き偽造、受取人改ざん、署名権者本人による

 レジ:虚偽の取消、虚偽の返金

4.棚卸資産等の不正流用

 棚卸資産・その他の資産の窃盗・横領:出庫・移動時、虚偽の売上・出荷、購入・受領時

 不適使用

5.不正な報告

 資産・収益の過大計上:計上時期の操作、循環取引、架空・水増売上、負債・費用の隠蔽

            不適正な資産評価、不適正な情報開示

 資産・収益の過少計上

 虚偽報告:内部資料、外部資料

 

                                     2014.7.18 TETSU

 

PS

 皆様、お気づきでしょうが、昨今世間を騒がせている”技術上の不正”は、虚偽報告に含まれるものとして概念として独立された項目となっていません。

古くは2005年の耐震強度偽装事件(いわゆる姉歯事件)、最近では2015年の東洋ゴム工業での免震ゴム偽装事件、

三井住友建設、旭化成によるマンション杭工事データ偽装事件、そしてフォルクスワーゲンによる排ガス測定不正ソフト事件と世間を騒がす事件には事欠きません。

これらは品質保証のテーマであって、コンプライアンス部門や内部監査部門の対象外というのが企業における一般的あり方と思われます。影響の大きさを考えると技術上の不正について、他山の石として体制の見直しが各企業に課せられています。

 

                                    2016.3.31追記